あらすじ
一
謀将の荀攸は曹操に、蔡瑁の甥である蔡和と蔡仲を呉軍へ潜り込ませるようにと勧め、曹操は実行に移した。
「敵の陣から二人の将が兵五百をつれて投降してきた」との報告を周瑜は受けた。
二
周瑜は、蔡和と蔡仲を甘寧の部下に置いた。
その日、魯粛は諸葛亮に会ったので「投降してきた蔡和と蔡仲を、周瑜が呉軍の中に入れたことは軽々しい対応だ」と話した。
諸葛亮は言った。「蔡和と蔡仲の降参は偽りです。妻子を荊州に残しているので、本当ならば妻子は斬られます。両軍とも戦いのきっかけがないため、敵の計を利用しようと考えておられるのです」
その日の夜、老将黄蓋が周瑜と密談していた。
三
周瑜はひと眠りしたあと、兵たちを集めた。その中には諸葛亮もいた。
周瑜は「近く、大行動に移るであろう。各兵船に約三か月間の兵糧を積み込んでおけ」と命じた。
すると、大将黄蓋が前に進み出て、言った。「なんという無策なことか。曹操の大軍を破る策を命じないのか。いたずらに兵を損ずるのみだ」
周瑜と黄蓋はお互いを罵倒しあった。顔を真っ赤にした周瑜は「斬れ」と命じた。
大将甘寧らが周瑜に「情けをかけてください」と頼み願ったため、周瑜は百打の刑と陣中に謹慎を命じた。
四
黄蓋は百回打ちすえられた。
黄蓋が諸将に抱きかかえられて、陣中へ運ばれていったあと、諸葛亮は自分の船へ帰っていった。
魯粛が諸葛亮を訪れ「どうして先生は周都督を諫めなかったのですか。先生は賓客であり、周都督は先生を尊敬されています。先生なら止められたはずです」と尋ねた。
周瑜は笑って答えた。「あれは曹操をあざむく計です。なんでそれを孔明が諫めましょう。このことは周都督へは必ず黙っていてください」
その日の夜、魯粛は周瑜と会っていた。
周瑜は「諸葛亮は何と言っておるかね」と魯粛に尋ねた。
「都督も容赦ないお仕打ちをなさると言って、悲しんでおりました」
「初めて孔明をあざむくことができた」と周瑜は笑みをもらし、魯粛に心中の秘を打ち明けた。