あらすじ
一
黄蓋は陣中の寝床に横たわり、日夜うめいていた。
そんな中、日ごろ親しい参謀官の闞沢が見舞いに来ると、黄蓋は他の人々を退け、二人だけにした。
闞沢は黄蓋に尋ねた。「皆の前で刑を受けられたのは、苦肉の計ではありませんか」
「さすがは闞沢。まさにその通りだ」
見舞いを終えた闞沢は、夜になると呉の陣中から姿を消した。
数日後の夜。漁翁が曹操軍の水塞の近くで釣りをしていた。
曹操軍の見張りは走舸(はやぶね)を飛ばして、漁翁を捕らえた。
二
深夜、曹操のもとに知らせが入った。「漁翁に身を変えていた呉の参謀闞沢と名乗る者がお会いしたいとのこと」
曹操の前に引かれてきた闞沢は言った。「丞相にとって良い知らせです。三代の呉に仕え、忠臣であると知られる黄蓋が、周都督に逆らったとして、罵倒され、百打の刑を受けました。それがしと黄蓋とは古くからの友人であるため、黄蓋はそれがしに託しました。恨みを晴らすため、丞相のお味方につきたいと申しております」そして、黄蓋の書面を差し出した。
曹操は十回ほど読み直したのち「明らかに策略だ。この老爺を斬れ」と命じ、黄蓋の書面を破り捨てた。
三
闞沢は少しも騒がず「小心なる丞相かな」と笑った。
曹操は「味方に来る時の期日が書かれていないため、偽りである」と説明した。
闞沢は「急に支障をきたし、その日に来れなかった場合、丞相は疑心暗鬼になりましょう。ゆえに、わざと期日を書かずに、好機を計って参ろうとするのです」と返した。
曹操は大きくうなづいた。そして酒宴を設け、闞沢をねぎらった。
そこへ待臣の一名が、曹操へ書状らしきものを渡して、下がった。