吉川三国志

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白帝城(はくていじょう) 三国志 出師の巻

・劉備、陸遜に敗れる あらすじ 呉軍陣営前の広野に陣を置いた蜀軍だが、呉軍はまったく動かない。しびれを切らした劉備は、挑発を繰り返したが、呉軍は動かない。蜀軍陣営は、木の陰もない広野にあるため、昼は炎暑にあい、水は遠くにしかなく、病人が続出...
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一書生(いちしょせい) 三国志 出師の巻

・陸遜、大都督となる あらすじ 蜀との和平交渉が失敗した呉の使者程秉(ていへい)は急いで呉国へ帰った。さっそく、建業城で大会議が開かれたが、蜀を恐れ、誰も声を発しなかった。そこで闞沢(かんたく)が、蜀を破るには、荊州にいる陸遜(りくそん)が...
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尉霊大望(いれいたいぼう) 三国志 出師の巻

・関羽・張飛の仇を討つ あらすじ 蜀と呉の激戦が繰り返されていたある日、夜になっても、関興だけが帰ってこなかった。劉備は関興を探すよう命じた。 関興はどうしていたかというと、激戦の中、父関羽を殺した潘璋(はんしょう)を見つけ、逃げ走る潘璋を...
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冬将軍(ふゆしょうぐん) 三国志 出師の巻

・黄忠、死す あらすじ 呉軍に対して連戦連勝の蜀軍は、巫峡(ふきょう)、建平(けんぺい)、夷陵(いりょう)まで攻め進んだ。 章武二年の正月の朝を迎え、劉備は賀春の酒を近臣に与えた。少し酒に酔ったのか、近臣たちに言った。自身も老いたが、多くの...
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この一戦(このいっせん) 三国志 出師の巻

・蜀と呉、ぶつかる あらすじ 蜀の大軍は、水路の軍船は巫口(ふこう)、陸路の軍は秭帰(しき)まで進出していた。呉の孫権は大勝負を覚悟した。呉軍五万は、宜都(ぎと)へ急ぎ、朱然は右都督、孫権の甥である孫桓(そんかん)は左都督として、各々二万五...
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呉の外交(ごのがいこう) 三国志 出師の巻

・孫権、呉王となる あらすじ 張飛の首をとった范疆(はんきょう)、張達のふたりは、呉の都建業に逃げ、張飛の首を孫権に献じ、忠節を誓った。そして、蜀軍七十余万の兵が、呉に向かっていることを告げた。孫権は驚き、即日、修臣を集めた。諸葛瑾(しょか...
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雁のみだれ(かりのみだれ) 三国志 出師の巻

・李意、占う あらすじ 蜀七十五万の軍は、呉を討つために、成都を離れ、行軍をつづけていた。途中、陣しているところへ、張飛の部下呉班(ごはん)がやってきて、一通の書を差し出した。劉備は一読すると、真っ青になり、額から冷や汗を流した。 翌朝、 ...
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桃園終春(とうえんしゅうしゅん) 三国志 出師の巻

・張飛、死す あらすじ 閬中(ろうちゅう)にいる張飛のもとに、蜀の勅使が来た。車騎将軍領司隷校尉(りょうしれいこうい)とし、閬州(ろうしゅう)一円の牧(ぼく)を兼任すべしというのだ。張飛は、関羽の仇を討たないかぎり、爵位を賜ってもうれしくな...
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蜀また倣う(しょくまたならう) 三国志 出師の巻

・劉備、帝位につく あらすじ 曹丕が大魏皇帝の位についたと聞いた劉備は、日夜、悲嘆に暮れていた。その翌年、献帝が崩御されたと聞くと、喪に籠ってしまった。 この頃、劉備は六十一歳、諸葛亮は四十一歳であった。 同じころ、襄陽の張嘉(ちょうか)と...
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改元(かいげん) 三国志 出師の巻

・献帝、曹丕に禅譲する あらすじ 延康(えんこう)元年六月。魏王曹丕(そうひ)は、亡父曹操の郷里、沛(はい)の譙県(しょうけん)を訪れていた。先祖の墓を祭るためである。そこで、夏侯惇(かこうじゅん)危篤の知らせを受けた。曹丕は急いで帰国した...
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私情を斬る(しじょうをきる) 三国志 出師の巻

・劉封を斬る あらすじ 建安二十五年、曹操は六十六歳で死んだ。このとき、漢中王劉備は六十歳であった。 ある日、成都の一宮に文武の臣を集めた劉備は、関羽の仇をとるため、呉を討つと言った。廖化(りょうか)が前に進んで言った。味方の劉封(りゅうほ...
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七歩の詩(しちほのし) 三国志 出師の巻

・曹丕、曹植を追放する あらすじ 三男曹植へ赴いた使者が戻ってきて、曹丕に報告した。曹植は、丁儀、丁廙(ていい)といった寵臣と前の夜から酒を飲んでおり、魏王の使者が来ているのに、座ったままで、礼をわきまえない。丁儀と丁廙は、曹植に問罪の使い...
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武祖(ぶそ) 三国志 出師の巻

・曹丕、魏王となる あらすじ 故曹操の重臣華歆(かきん)が、許昌から早馬をとばして鄴都へやってきた。曹操の霊壇にひたいを床につけて礼拝し、太子曹丕(そうひ)に百拝を終えたあと、華歆は満堂の諸臣に「なぜ一日も早く太子を立てないのか」と罵った。...
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曹操死す(そうそうしす) 三国志(九)出師の巻

・華陀、斬り殺される・曹操、死す あらすじ ある日の夜が明けるころ、七名の武士が獄府へやってきて、獄中の華陀を斬り殺した。曹操の命である。毎晩のように、曹操の夢の中にあらわれるのが理由であった。 呉の孫権から見舞いの使節がきた。書簡には、臣...
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梨の木(なしのき) 三国志(九)出師の巻

・華陀、曹操の怒りを買う あらすじ 今年六十五歳となる曹操は、体の不調を訴えることが多くなった。ある日、側近たちが曹操に、べつに新殿を建てて気をかえてはどうかとすすめた。建築にあたっては、蘇越(そえつ)という建築の名工が呼ばれた。 蘇越の設...
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成都鳴動(せいとめいどう) 三国志(九)出師の巻

・劉備、関羽の死を知る あらすじ 朝、いつもより早く軍師府へ姿を見せていた諸葛亮は、警備をしていた者から、昨夜、劉備が前殿の廊で倒れていたことを聞き、急いで内殿へ向かった。劉備は、義弟のうらみを晴らしてくれという関羽の夢を二度見たという。諸...
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国葬(こくそう) 三国志(九)出師の巻

・関羽の首 あらすじ 呉侯孫権は、塩漬けにして関羽の首を、曹操へ届けることにした。 関羽が斬られたことを知れば、蜀は国をあげて呉を攻めてくる。それを防ぐために、関羽の死は、曹操の指図であるとする必要があったからだ。 関羽の首を実検した曹操は...
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草喰わぬ馬(くさくわぬうま) 三国志(九)出師の巻

・関羽、死す あらすじ 関平も呉軍に生け捕られ、呉侯孫権のもとへ送られた。途中関平は、父関羽の名を叫び続けていた。 孫権は、目の前にいる生け捕った関羽に、降伏するようにと諭した。しかし関羽は「桃園の誓いあり。降伏せよとは笑止。はや首を打て」...
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蜀山遠し(しょくざんとおし) 三国志(九)出師の巻

・関羽、捕らえられる あらすじ 関羽の説得から戻ってきた諸葛瑾は、呉侯孫権に失敗したことを報告した。 一方、関羽の籠る麦城の兵は、五百から三百人に減っていた。傷病者が増え、脱走者がたえないのである。 麦城の北に連なる峰を越えれば、蜀に通じる...
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月落つ麦城(つきおつばくじょう) 三国志(九)出師の巻

・関羽、麦城に籠る あらすじ 広野に野陣を張っていた関羽は、進めば荊州の呉軍が、退けば魏の大軍があり、囲まれていた。途方に暮れた関羽は、ごくわずかな望みながら、陸口にいたときに交友をもった呉の呂蒙に使いをだし、助けを求めた。使者に会った呂蒙...